自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」
私のような乱読家は意外と食べ物、ワインなどのレシピに詳しいものです。
それもそのはず。
世界的に有名な作家村上春樹の著作の多くには美味しそうなワインやビール、料理の描写が随所に光り、私達読者の胃袋を直撃してきます。
私を含めた読書家達はそんな作家たちの食事シーンを読んでいるため、食べたこともない料理にやたらと詳しくなるのです。
化学者はお菓子作りが趣味になる人も多いって聞きますねぇ!
私も読書家なので、読んだ本の中に出てくる料理が食べたくなって再現しようと慣れない包丁を握ることが多いですが、これが難しい。
そんな料理音痴の私でも簡単に再現できるのが「グリューワイン」、つまりワインにスパイスを漬け込んだ飲み物です。
今回の記事では「イポクラス・ブラン」という白ワインで作られるグリュー・ワインを紹介します。
自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」とは?
「イポクラス・ブラン(l’Hypocras blanc)」は1300年代にフランスの宮廷料理人として活躍した「ギヨーム・ティレル(別名タイユヴァン)」が、ギリシアの医師「ヒポクラテス」にちなんで名付けたグリューワインの1種です。
タイユヴァンと聞くとフランスのパリにある3つ星レストランを思い出す人は多そうです。
ギヨーム・ティレルは実在の人物であり、グリューワインやタルトなど現代のフランス料理でも有名な料理を作りだしたほか、料理の仕組みを解明しようとした人物としてフランス料理史にも名を遺す有名人物です。
グリューワイン「イポクラス・ブラン」は中世フランスで当時大流行し、食後(ディジェスティフ)に良く飲まれたもので、白ワインから作られています。
グリューワイン「イポクラス・ブラン」は甘目、加えられたスパイスの味がピリリと舌の上を走る刺激的な味が特徴です。
グリューワインのようなスパイスワインが中世当時に流行ったのは、ワインの保存技術が悪くて味がダメになりやすいため、味をごまかす意図で生み出されたとされています。
自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」が登場した本
自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」が登場した本はこちら「王のパティシエ-ストレールが語るお菓子の歴史-」です。
「王のパティシエ-ストレールが語るお菓子の歴史-」はストレールというフランスの老舗菓子店を舞台とした物語で、1700年代後半にストレールを興した二コラ・ストレールの目線から当時のフランスと料理とレシピについて語る日記形式の本となっています。
ストレールで保管されていたレシピやその他資料を基に作られたフィクション作品ですが、登場するレシピは実際にストレールで使われていたものが書かれていて、グリューワイン「イポクラス・ブラン」もその一つです。
実はこのグリューワイン「イポクラス・ブラン」が登場する本はほとんどなくて、私の手元にある1冊でしか登場していないほど日本では珍しいグリューワインです。
しかも、この本は翻訳本なので「イポクラス・ブラン」は日本で実質無名のグリューワインになります。
いくつかのレストランなどでは「イポクラス」と呼ばれるグリューワインが供されていますが、赤ワインのグリューワインのため、「イポクラス・ブラン」と異なります。
ちなみに赤ワインのグリューワインだと「ヴァン・デ・デュー(la Vin des Dieux)」となり、また別のグリューワインとなります。(甘口なのは同じ)
「王のパティシエ-ストレールが語るお菓子の歴史-」では他にも当時のお菓子のレシピやグリューワインのレシピが多数登場しています。
興味がある方は是非ご購入のほど自分でフランス老舗店の味を再現してみてはいかがですか?
自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」【作り方】
グリューワイン「イポクラス・ブラン」のレシピは「王のパティシエ-ストレールが語るお菓子の歴史-」の本中に書かれています。
ただし、元のレシピがお菓子店向けのレシピの為、グリューワイン「イポクラス・ブラン」は白ワイン2Lを使うレシピとなっています。
本に書かれているグリューワイン「イポクラス・ブラン」のレシピを1Lに合わせて計算しなおしたものを掲載します。
実際は好みに合わせて量を変えるといいと思います。
自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」【材料】
- 白ワイン 1000L
- グラニュー糖 200g
- シナモン 15g(シナモンスティック)
- 丁字(クローブ) 2本
- 白胡椒 3粒
- ショウガ 5g程度(すりおろしたもの推奨。パウダータイプでも可能)
- レモン 半分
一般的なボトルワインは750mlしか入っていませんが、紙パックタイプの白ワインなら1L入っている商品が多いため、グリューワインの計算が面倒にならないようにするならそちらの購入をおすすめします。
グリューワイン「イポクラス・ブラン」に使うワインの種類は白ワインなら何でもよいですが、出来上がりが甘口になることを考えると辛口の白ワインを使うことをおすすめします。
シャルドネはイポクラス・ブランと同じフランス産のワインの為、グリューワインが作りたいならシャルドネを使うことをおすすめします。
私も何度かシャルドネを使ってグリューワインを作っていますが、スパイスの味ものりやすい素直な味の商品が多いため、仕上がり具合がわかりやすくおすすめできます。
丁字(クローブ)と白胡椒はホールタイプのモノを用意してください
シナモンはパウダーではなくスティックタイプを。
あとは一般的なスーパーで買えるものを用意してグリューワインの材料として使用してください。
自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」【手順】
- 密閉できる容器を用意する
- 白ワイン(1000L)にグラニュー糖、シナモン(荒めに砕く)、丁字(そのまま)、白胡椒(そのまま)、ショウガ(すりおろしたもの推奨。パウダータイプでも可能)、レモンを加える
- 48時間冷暗所に保管する
- 48時間後、容器を取り出して中の液体をろ過する。
- 完成
グリューワイン用の保存容器は1L以上入る容器ならなんでも大丈夫です。その中でもHARIOの冷蔵庫用ポットは1.4Lと大容量ながらもスリムの為、人気の商品です。
白ワインにグリューワイン用の材料を加える際にはお茶用の仕出しパックを使うと取り出すときが楽になるため、おすすめです。
グリューワインにはジンジャーはすりおろしたものを加えるべきですが、パウダータイプでも問題なく代用できます。
グリューワインに材料を48時間つけおく必要がありますが、24時間だけ付けた場合だとスパイスの味が控えめになります。
グリューワイン「イポクラス・ブラン」に入っているシナモンが苦手という人は漬けおく時間を短縮するか、お好みでシナモンの量を変えることをおすすめします。
自宅で作れるグリューワインのレシピ「イポクラス・ブラン」まとめ
グリューワイン「イポクラス・ブラン」とは中世フランス時代、「タルト・タイユヴァン」と呼ばれるタルトと共に良く飲まれていた、と「王のパティシエ-ストレールが語るお菓子の歴史-」の作中で言及されています。
また、ギヨーム・ティレルがフランス王族お抱えの料理人であったため、王族の間でもこのグリューワイン「イポクラス・ブラン」が良く飲まれており、ルイ14世の時代でも人気があったとされています。
私個人としてもこのグリューワイン「イポクラス・ブラン」は手順も簡単で作りやすく、グリューワインとは何ぞや?が分かると同時にフランス王族が愛した味を楽しめるのがおすすめできるポイントです。
味も飲みやすく、スパイスの風味が癖になるため、ごくごく飲めて美味しいグリューワインです。
「王のパティシエ-ストレールが語るお菓子の歴史-」には他にも様々なお菓子やグリューワインのレシピが記載されています。それらを再現してみる楽しみもある嬉しい1冊ですね。