味覚と脳みそと6番目の味覚
こんにちは、アンソニーです。
早いものでニュージーランドに来てから4ヶ月が過ぎました。
当然、食べるものは食べないといけないのでニュージーランドで売っている食材を食べているわけです。
また、ニュージーランドのレストランで働くとその都度、賄いを頂けたりします。
どっぷりとニュージーランド食材に浸っているわけですが、日本と味が違うなぁと思うことはままありますね。
日本じゃないんだから当然なのですが、この違いはどこから生まれてくるんだろう?
ふと気になってしまったアンソニーです。
味覚とは何か?
味はアミノ酸や糖などの溶液が口の中にある味蕾と呼ばれる器官を刺激することで感じ取れる、と言われています。
味蕾は舌、軟口蓋に存在しています。
科学的なには味蕾に受容体が存在すれば味覚として認められます。現在確認されている味覚は全て受容体が味蕾に存在しています。
この溶液が味蕾を刺激する、というところがポイントで、もし舌をティッシュか何かでふき取った後にチョコレートなんかを載せてみても味は全くしないのです。
だ液は結構重要ですよ。
現在確認されているのは5つの基本味で
- 甘味
- 塩味
- 酸味
- 苦味
- うま味
です。
辛味は痛覚に属していて、渋味は触覚に関係しているとされています。
また、それぞれの基本味を示す化学物質についても解明が進んでいて、それぞれ
- 甘味:ショ糖、果糖、ブドウ糖。
- 塩味:食塩。
- 酸味:酢酸、リンゴ酢、クエン酸、乳糖。
- 苦味:カフェイン、リモネイド。
- うま味:グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸。
等が代表的な物質として知られています。
また、味覚は舌の異なる場所で感じられる、とする味覚地図なるものがありましたが今では完全に否定されていますのでご注意ください。
また、何故味を感じるのかという疑問ですが、下の講演で講演者の方が言っているように味は食事に対する報酬、と言われています。
体にとって有用か有害かを判別する、ないし食物の消化を助ける場合に美味しさを感じるようになっているとされています。
上の5つの味覚にはそれぞれの味に対応した影響が体に起こるようになっています。
例えば、甘味であれば体を動かすエネルギーになり、塩味は体内のイオンチャンネルの調整に必要不可欠です。
そういったように味を感じなくてはいけない理由が存在します。
それを求めるように人間の体は本能的に出来ています。
それが食事への脳からの報酬です。
体内に注目した事例は近年増え続けています。
下に示した動画も大変興味深いですが、今回は紹介するだけに留めます。
新しい第6の味覚候補たち
近年、5つの味覚だけではなく6つ目の味覚と考えられている味がいくつか存在します。
それがスターチと脂肪とカルシウム、こくです。
スターチは炭水化物。脂肪はまんま脂質。カルシウムもまんまカルシウムです。こく味はグルタチオンという物質が関わっているとされています。
え?と思われるかもしれませんが、実際に発表もされています。
ただし、現状ではそのどれもが受容体を見つけられていないため、検証段階にあると考えるべきでしょう。(カルシウム味はマウス実験で確認できたとの発表でしたが、人間にあるかどうかは不明です)
うま味も理論として提唱されたのは100年前ですが、実際に認められたのは2000年代に受容体が見つかってからでした。
上記の味覚たちにも受容体が見つからなければ認められることはないでしょう。
新たな味覚たちの効果
カルシウムは身体に必要不可欠な物質です。それを味として感じるという考えに違和感は覚えにくいです。
こく味というと違和感を覚えますが、主な物質であるグルタチオンは体内の代謝にかかわる物質だそうです。でも、やっぱり違和感を感じますね。
グルタチオンによって体内の活性酸素などを排出出来るそうです。
炭水化物、いわゆるでんぷん味も人類にとって必要不可欠な成分でありました。でんぷんを含む穀物類は人類の主食として大きな役割を持っています。
脂肪。脂質や油、とも呼ばれダイエットの敵として知られていますが、エネルギーを貯蓄するうえではとても優秀な物質です。三大栄養素の一つでもあります。
ただ、そのためなのか高い嗜好性を持っていて積極的に脂質が含まれる食物を取りたがる傾向が表れるそうです。
飢餓に耐えるために食べられるときにエネルギーを蓄えておこうという生物的な欲求と、食べ物に困らなくなった時代の到来が生み出した正に現代病の申し子なのですが、別に脂肪が悪いわけではありません。
脂肪においては摂取した時に脳の視床下部に働きかける性質を持っているとの研究結果も出ています。
味覚という分野事態が発展途上で研究がまだ進んでいないため、脂肪で起きているようなことが炭水化物などでも同様のことが発見される可能性は十分に考えられます。
上に挙げてきた味覚たちは言ってしまえば生命活動に直結した成分を舌でより分けるために脳が与える感覚です。
生命活動を行うに必要な物質を得た報酬として味が分かるとするならば、上にあげたものすべてが味覚となる可能性は十分にあります。
ただし、ノーベル賞を取った本庶氏が言ったように簡単に信じるのではなく自分の目で確かめようとすることも大切です。
おまけ
調べていく過程で脂肪への嗜好性を減退させる方法を実験した資料を見つけましたので結論だけ。
脂肪への嗜好性はかなり高く、いわゆるポテチが止まらない状態に似ていますが、うま味がそれを止めるカギになるとのこと。
カツオだしと炭水化合物の組み合わせが脂肪の摂取量の減退に影響する可能性があるとのこと。
炭水化物と言えば小麦やコメ。カツオだしとくれば料理はうどんですね。
つまり、うどんを食べれば脂っぽい食事を食べたくなる気持ちが薄れるということだと思います。
もしくはだし茶漬けなんかも良いと思います。
美味しくてヘルシーとは正にこのことだったんですね