その卵大丈夫?光ってない?
こんにちは、アンソニーです。
今日ちらりとJ-stageの論文ランキングを見てみたら、なにやら怪しげな論文が1位になっていてびっくりしました。
その名も「発光する玉子焼にぎり寿司から分離した発光細菌の検討」です。
どうやら、Twitterのほうで卵焼きが光ってるという投稿があったことが原因にあるようです。
そうでなくても題名が気になってしまったのでちょっとばかし調べてみました。
卵焼き握り寿司が光る!?
いわゆる「ギョク」と呼ばれる寿司ネタですが、スーパーで購入したそれが光っていると話題になったそうです。
スーパーで買った玉子の寿司
暗いところで見ると
光ってるんだけどなにこれ?(・ω・) pic.twitter.com/3VsSPCMXO5— KAZUライト@ルミオン⇔VOXY (@ka_zuan) 2018年9月15日
J-Stageに掲載されている論文自体は1992年のもので、論文の内容からそれ以前からギョクが発光する現象があったことが確認されていることが分かりました。
研究のきっかけとして、寿司チェーン店から持ち帰った商品を夕方自宅で食べた後、残りを卓上に放置したところ、深夜暗い室内で商品が発光していることを確認したところから保健所へ届け出たことでした。
そこから研究者たちの手へと渡ったそうです。
ギョクには卵焼きだけでなく、海苔、酢飯がありますが、発光が確認されたのは卵焼きだけであったそうです。
研究所で細菌学的検査を行ったところ、P.phosphoreumという菌によって発光現象が起こっていることが分かりました。
この細菌は10℃に保温した状態でも繁殖が確認されました(48時間保存することで発光を確認した)。
また、ボイル海老やイカ、焼きちくわ、マグロ、コノシロ酢漬けなどで実験を行ったところ、ちくわ、海老、イカに同様の現象が確認できP.phosphoreumが繁殖したことが確認されました。
また、発光こそしないもののマグロでの細菌の繁殖は確認されています。
論文によると酢漬けでは細菌の発生が抑えられたとのことです。
食べても大丈夫なの?
確証は出来ませんが、大丈夫ではないかと論文では結論付けています。
論文では細菌の腐敗作用、ヒスタミンの発生量を調査していました。
ヒスタミンとは体内に存在する物質ですが、多量に摂取するとヒスタミン中毒という症状を引き起こすことで知られ、主に魚介類やその加工品を食べることで中毒症状を起こす、と注意喚起されています。
このP.phosphoreumによる腐敗作用はそれほど高いものではないと結論付けられています。(そもそも傷みやすい魚肉類と常温保存しようとすること自体がおかしいのでやめましょう)
また、ヒスタミン生成を確認したところ、最もヒスタミンを生成した条件は25℃で72時間保温されたマグロから250μg/g確認されたとのことです。
これはどのくらいの危険度かというと、厚生労働省のHPより
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130677.htmlより
とあります。
NOAELとは動物試験などで求められたこの量以下なら有害な影響が発生しないとされる最大量のことです。
50mg以下の摂取であれば問題なく食べられるそうです。
一応計算してみましたが、ヒスタミンを50mg摂取するためには研究で使用したような72時間保温されたマグロで作った寿司(調べてみると、寿司ネタは一貫約15gが一般的な重さだそうです)を200g食べれば良いので、200÷15で13貫ほどになります。
勿論、72時間常温保存したマグロでこの数字なので、神経質になるほどではないと思います。(というか、この菌よりもヒスタミン生成が激しい菌はあるので、発光しているからどうだ、というよりもまず保存状況を確認しましょう。)
また、軽度のヒスタミン中毒であれば抗ヒスタミン薬を飲むことですみやかに治るとのこと。
生魚は日本人の食文化でありますが、だからこそ保存などはきっちりと行って食中毒などにならないよう気をつけましょう。
抗ヒスタミン薬は薬局でも取り扱っていますので是非ご一考を。